Kao Data社の事例:UK Innovation CorrridorのHPCとAI向けに、CFD解析を活用した拠点を設計・構築

Colocation Simulation Case Study

ホールセール型コロケーションとハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のプロバイダであるKao Data社は、弊社の熱気流解析(CFD解析)を使用し、間接蒸発冷却システムを用いたデータセンターの設計を検討しました。

HPCとAIに対応する綿密に設計されたデータセンター

2018年、Kao Data社は、最初の施設であるKao Data London One (KDL1)の運用を開始しました。英国初の「フリークーリングが100%のホールセール型コロケーション施設」として、HPC・人工知能(AI)・エンタープライズ向けにエネルギー効率の高い最先端のコロケーションサービスを提供できるよう、敷地の設計が行われました。ハイパースケールスケールデータセンター並みの効率性を実現しており、部分負荷時でもPUE 1.2以下を達成できます。

KDL1独自の要件と高い性能を実現するための要件があるものの、このデータホールの設計で重要な位置を占めるのは、環境の持続可能性です。Kao Data社では、より高いエネルギー効率を実現するために、冷媒を使用しない間接蒸発冷却システム(IEC)システムを検討し、導入しました。このシステムでは、暑い日に機械的なシステムに代わって水の蒸発で空気を冷却します。

弊社は、Kao Data社がデータセンターの設計、導入、運用に関して、十分な情報とデータに基づいた意思決定を行えるよう、データセンターの内部・外部環境のCFD解析を提供しました。

設計パラメータと冷却方法

KAO Casestudy 1

図1. 建物南側のIECの吸排気口における南西風の影響を示しています。流跡線は湿球温度によって色分けされており、湿度の高い排気(オレンジ / 黄色)は建物の上を流れます。

当初から、Kao Data社の敷地は、産業規模の集中的なコンピューティングであるOCP-Ready™、GPUで高速化したスーパーコンピューティングシステムに対応できるように設計されています。Kao Data社の敷地は、合計で約15万ft² (約14万㎡) のサーバ設置スペースを持つ4つのデータホールで構成されています。各データホールのIT負荷合計は8.8MWとなっており、25kW~40kW以上のラック密度にも対応しています。

GPU集中型のシステムでは、電力と冷却の要件が厳しいため、できるだけエネルギー効率を高め、持続可能なシステムを維持することが重要です。そのためには、運用効率の向上、効果的な電力・冷却システム、そして再生可能エネルギーを100%使用することが必要です。

最終的にKao Data社は、間接蒸発冷却式空調機(IEC)を用いたシステムの採用を決定しました。IECは、外気を利用して施設を冷却するもので、外気と内気が混ざることはありません。このシステムを設計する際は、湿った空気を吸い込まないように、吸気口と排気口を分離することも重要です。

そこでCFD解析を使い、外部環境のモデル作成を行いました。Kao Data社では、このように意欲的な設計仕様を実現するため、実際のデータに基づいて意思決定を行う必要がありました。弊社の熱気流解析(CFD解析)ソフトウェアを用いることで、Kao Data社の技術力を補完し、プロジェクトの構築段階に入る前に、リスク管理を行いつつ、業界最高水準の効率性を同時に得ることができました。

デジタルツインが実現する最適な設計

KAO Casestudy 3

図2. 断熱/蒸発式冷却の解析結果です。IECの吸排気口の相対湿度を示しています。

Kao Data社では、弊社の熱気流解析(CFD解析)を使用し、データセンターのデジタルツインを作成しました。市場をリードする6SigmaDCXスイートを活用して、さまざまな条件下で施設の冷却性能を評価することができました。この評価には、複数の気象条件に基づくシナリオ、フル稼働および一部稼働時の条件、外部環境の幅広い設計案などが含まれます。

今回のCFD解析により、Kao Data社は以下のことが可能になりました。

  • IECの概念的な設計案の「実行可能性」と「性能」の評価
  • 施設構築案の各段階における十分な冷却性能の確認
  • 潜在的な変動や極端な環境条件の影響を検証
  • さまざまな外部環境の条件で予測されるIECの入口条件が許容範囲であり、IECの性能を損なうものではないことの確認

最終的にKao Data社では、外部環境のCFD解析を実施し、設計の熱的性能だけでなく、気象条件や施設構築の各段階でどのような影響があるか把握することができました。

Kao Data社の最高執行責任者(COO)であるPaul Finch氏は、次のように述べています。「業界をけん引するFuture Facilities社のCFD解析は、英国で最も持続可能でエネルギー効率の高い施設を設計・建設する上で非常に重要な役割を果たしました。また、最近では、NVIDIAの『スーパーコンピュータ「Cambridge-1」』の導入にもCFD解析が大きく貢献しました。」

現在、Kao Data社と弊社は、エンタープライズ、HPC、AIの用途でDCを利用する顧客のために、協力して複雑な設計のモデル化を続けています。このプロセスは、運用効率とエネルギー効率の両方を最大化し、持続可能なコロケーション型DCの実現に役立ちます。

データセンターのCFD解析により、Kao Data社がどのように間接蒸発冷却システムを評価し、HPC・AI・産業規模の集中処理向けの拠点をUK Innovation Corridorに構築したのか、事例の詳細はこちらからご覧いただけます。

Kao-Data-Case-Study-LP


Engineering Manager EMEA
Alex Dorn

他の最新投稿


ケイデンス、Future Facilitiesの買収を完了

ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サン…

ニュースをすべて見る


ケイデンス、データセンター向けデジタルツイン技術のパイオニア企業 Future Facilities社を買収

ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サン…

ニュースをすべて見る

26 May, 2021

一覧へ戻る