データセンター向けCFDで熱を制す

データセンターのコンサルタント700人を対象とした調査によると、ヨーロッパのデータセンター管理者は、「自社の設備が気候変動による気温上昇に対応している自信がない」と考えています。年々夏の暑さが増す中、停電発生時の気温上昇への対応に必要なインフラが整っていると確信していた方は、たったの40%でした (参照: DCD「European data centers aren’t equipped to deal with climate change, survey finds」)。

このような懸念から、多くの方が再生可能エネルギーを検討しています。これは大変素晴らしいことであり、カーボンニュートラルなデータセンターを構築する上で重要な一歩となります。以前のブログでは、環境に配慮した設計を可能にする方法として、廃熱を回収する特別仕様のデータセンターを設計するCFDの活用を紹介しました。

しかし、私たちFuture Facilitiesは最も環境に優しいデータセンターとして「建設する必要のないデータセンター」を提唱しています。データセンターの管理者は、必要なデータセンター2棟に対して、3棟のデータセンターを建設しています(The Digital Twin for Today’s Data Center)。これは、単にデータセンターをもう1棟建てているということではなく、電力設備や冷却設備が増えることで二酸化炭素の排出量も上がり、総合的に見ると資源を無駄遣いしていることを意味します。

では、気温上昇や停電に対応可能で、かつその能力を最大限に使用できるインフラは、どうやって実現すればよいのでしょうか。本ブログでは、データセンターのデジタルツインを使用して設計の「ストレステスト」を行い、キャパシティ管理を最適化する方法を紹介します。
 

デジタルツインとは

温度、圧力、振動などの実測データに関連付けした現実世界の物やシステムをデジタルで動的に再現し、実際の挙動をシミュレーションしたのが、デジタルツインです。データセンターのデジタルツインも現実世界のデータと連携した3Dの仮想モデルですが、ここでより重要となるのは、あらゆる条件下での物理的な挙動をシミュレーションできるという点です。

繰り返しになりますが、ここで大切なのは「データセンターのデジタルツインは、稼働状況をシミュレーションする」ということです。デジタルツインが空間をモデル化しただけのものであれば、それはただの3Dモデルです。3Dモデルをデジタルツインたらしめるもの、それこそシミュレーションです。ここでいう「シミュレーション」とは、モデルを用いた物理現象の再現です。シミュレーションは、エンジニアリングシミュレーションや予測シミュレーションと呼ばれることもありますが、一般的には手計算で解けないものを意味します。データセンターの場合は、気流や温度の分布予測が挙げられます。

 


CFDソフトウェアで実現する効率的なキャパシティ管理

データセンター業界では、スプレッドシートを使った分析によるキャパシティ管理が未だに一般的です。データセンターの管理者は、このスプレッドシートを使ってアプリケーションの要件を満たすために必要なITリソースを入念に計画し、施設の利用可能な電力、空きスペース、そして冷却設備と照らし合わせる必要があります。

スプレッドシートやキャパシティの数値計算でも最初はうまくいくかもしれませんが、予測精度はやがて低下します。例えば、データセンタに供給される送風量を一定にしたり、時間経過後も同風量に保つことは可能ですが、IT機器の更新や増設によって施設内部の設計は常に変化するため、各ゾーンに供給される送風量は設計当初の想定から徐々にずれていきます。ITリソースの変動と更新が続けばそれまでの管理方法はやがて通用しなくなり、需要の増加、高密度の設計、液冷システムの導入という要素まで加われば、確実に行き詰ってしまいます。

最も高精度な予測は、データセンターの物理現象を考慮したものです。個々のACUであれ、電力系統であれ、インフラの一部に障害が発生した場合に、データセンターの冗長性を安全に検証する唯一の方法こそシミュレーションです。こちらの動画で詳細を説明しています。
 

 


データセンター向けCFDの積極的活用

2020年は、事前に積極的な対処を行うことの必要性があらゆる場面で表面化した年になったのではないでしょうか。例えば、データセンターの運用者は、高出力・高密度の設計だけでなく、年々高まる夏の暑さや二酸化炭素の排出規制に対応していく必要があります。

私たちFuture Facilitiesは、問題解決に結びつく製品設計を心がけており、お客様が6SigmaDCXを用いて「将来の負荷を計画しながら、改善策を実施できる」ようにしたいと考えています。実際にこれを実現したCitigroup社の事例については、こちらをご覧ください。


Lead Marketing Editor, Danielle Gibson
Managing Director, Sherman Ikemoto

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